カナダでは、嗜好品としての大麻(マリファナ)使用が合法化。「Cannabis Act」が発効され、30グラムまでの所有と1世帯4本までの栽培が認められています。
カナダでは2001年に医師の処方箋に基づく医療用大麻の所持・使用が解禁され、ウルグアイに続き、国の全土で嗜好用大麻が解禁されていますが、空のルールも大きく変わったようです。
エア・カナダ(Air Canada)は10月17日からカナダ国内線への大麻の機内持ち込みを認めています。
持ち込めるのは、法定量の30グラムまでで、機内荷物・預け入れ荷物の両方に入れらるようです。
国境を超えれば違法?
もちろんですが、機内での吸引はできず、大麻が禁止されている国には持ち込めませんね。
そのため、エア・カナダは「大麻を所持したまま国境を越えて海外に旅行することは違法となる」として注意を呼びかけている様子。
大麻所持を理由に入国を拒否された場合、帰国便の費用支払いなどの責任は、所持していた本人が負うことになるとも記載がありますが、これは当たり前ですよね。
自国の税収のために合法にしたものを他国から持ち込んだり、持ち出しを許可してしまっては、元も子もないのですから。
また、カナダの国内線であっても、不測の状況により、大麻所持が違法な米国空港へのルート変更が必要になる場合があり、その場合は米国法に則り、罪に問われるそうなのでご注意を。
カナダでは医療用大麻・嗜好用大麻ともに認められていることから、既に大麻が広く流通しています。アメリカでもカリフォルニアなど、9つの州で嗜好用大麻が合法化。
カナダでは一歩進めて国公認で製造や販売ルートを整備することで税収を得て、闇取引を禁じ、無法地帯となるのを防ぐ考えなのです。
運輸省のデルフィーヌ・デニス(Delphine Denis)報道官は
「今年10月17日以降、カナダの国内便に限り、乗客は法定量の30グラムまで大麻を機内荷物や預け入れ荷物として持ち込むことが許可される」とAFPに語っています。
ただし、国際便への持ち込みなど、大麻を所持して国境を越える行為は今後も違法だとしています。
これは、大麻が合法化された地域間の移動も含みます。例えば、カナダ・バンクーバー(Vancouve)から米ワシントン州シアトル(Seattle)へ大麻を所持したまま移動すれば、「厳重な処罰の対象になる」ということ。
カナダは10月17日に先進7か国(G7)で初めて全土で嗜好用大麻を合法化し、30グラムまでの個人所有と1世帯4本までの栽培が容認。国レベルでの嗜好用大麻解禁は、ウルグアイに次いで2国目となったわけです。
気になる世論調査結果は大麻拒否?!
カナダ統計局(Statistics Canada)によると5000人以上のカナダ人を対象に調査が行われ、回答者の82%が「大麻が合法化されても使ってみようとか、使用量を増やそうとは思わないだろう」と答えたのだとか。
また現在すでに大麻を使っている人のうち、使用量を増やすと答えた人の割合は28%という結果になったそうです。これはただ単に今までの闇ルートからの供給が十分であり、価格にも満足しているから、わざわざ高額な合法ルートで購入する必要も無いといった判断なのでは無いかというのが、カナダに住む友人の見解。
調査結果によると、カナダ全人口の16%に当たる約460万人が大麻を使用しており、一般的に男性は乾燥大麻を、女性は食用大麻を好む傾向があったとのこと。また使用された大麻の86%は乾燥大麻だったそうです。
大麻使用者が5月から6月にかけて費やした金額に関しては、1人当たり100カナダドル(約8500円)以内が使用者の25%、250カナダドル(約2万1000円)以内が21%となっています。
人によって使用量が明らかに違うことがわかります。
ちなみに、嗜好品として使用する人よりも医療用として摂取している人の方が大量に消費することも知られており、日々の健康や様々な症状の緩和に役立つことも皆身をもって理解しているようです。
カナダでは購買意欲がわかない
小売販売が認められているカナダのディスペンサリーは、カリフォルニアなどとはちょっと違う。
お客さんは、見えない場所に保管されている大麻の中から(現時点で販売されているのは、ほぼ乾燥させた花穂のみ)、購入するものを選ぶことになっているのです。
アメリカのように、カラフルな大麻入り食品や、ベイプペン、ジョイントや、その店の賑やかに見える関連グッズとして販売されているものはない。
製品を入れたノーブランドのパッケージには、標識のような赤いマークが付けられ、明るい黄色の背景の枠組みの中に、依存性があることを警告文が記載されているだけ。
あとは、THC、CBD、テルペンの成分表示くらいなものです。
これらを表示することは、カナダ議会の上下両院の承認を得るために打ち出された妥協案なのです。法案を可決させるために、大麻をもっとも臨床的に扱うことにする必要があったためこのようなパッケージで売られているということで、仕方ない理由でもあります。
カナダ保健省は、利益ではなく衛生安全を重視する観点から、パッケージを規制しているのです。メーカーが未成年に大麻を販売しないことを保証したいという目的からブランド戦略を禁止。その結果売上は上がらず、税収もあまり伸びていないということです。
規則の問題点
未成年に販売しないことは非常に重要だが、この規則にはいくつかの問題点が・・・。
痛みや不安の緩和のために初めて大麻を使用しようとする人たちは、製品に関する知識を得るのに苦労するということ。
販売店の店員、バッドテンダーは顧客のニーズを聞き取り、適切な製品を紹介する薬剤師のような役割。
アメリカではかなり丁寧に相談に乗ってもらえたりしましたし、店員さんから話しかけてくれ、好みに合った製品を勧めてくれたりもします。
自社ブランドを展開しているディスペンサリーが多く、「少しでも利益を上げたい」「成功させたい」「自分の会社が好き」といった思いから出る行動だと思われます。
それに比べてカナダは、ただの小売店。未成年への販売禁止という使命から、自社ブランド展開が禁止されているため、商品展開もゼロ。もちろん取り扱っている品物への愛着や思い入れも無いのです。
全ての製品のパッケージを基本的に同じにするよう義務付けたことで、カナダは大麻を販売する企業のマーケティングの力を奪い、競争を不可能にしたのです。
それでも、大手飲料会社の大麻栽培や、製品開発を手がけるくらいの土地の広さは有しており、大口取引は後を絶ちません。
一般消費者にとっては、「今までと同じ」と感じられ、観光客が増えるということもあまりなさそうです。
短期的には、パッケージに関する現行の規則が、カナダの大麻市場を脅かすことはなさそうですが、解禁された当日に見られたとおり、繰延需要が相当に大きかったことは明らか。だが、長期的に見れば、規則の影響が現れる可能性はありそうですね。
国内線への持ち込み許可といい、カナダはブランド戦略以外の部分の規制を緩めにすることで、利益を生もうという手段に出ているようです。今後の動きにも期待ですね。
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