2018年中頃から急速な成長を見せている、CBD産業。それに伴い、大麻研究の速度も加速。海外では、どんどん新しい研究結果が報告されています。
美容に限らず、心身の健康サポートや本格的な病状の治療にも役立つことが明らかになってきていますので、今回はその最新の研究結果についてご紹介します。
CBDは心身ダメージの予防に
CBDは、脳内にある海馬に作用し、不安という感情のコントロール、またストレスからくる脳障害への回復を促進するという脳機能の補助に効果があります。
しかも、MRIの映像化によって進められてきた研究の中で、THCを豊富に含む大麻の摂取により破壊され、収縮した海馬を、同じ大麻に含まれる成分であるCBDが修復するというのです。
オーストラリアの神経科学者がこれに関する研究を行い興味深い結果を発表しています。
大麻常習者の海馬組織にCBDがどういった作用をするか、1日あたり50mgのカプセルを4錠投与して実験。
CBDを処方した10週間後、小さかった海馬部分のサイズが増大。さらに、CBDを投与し始めて10日後からは、脳内の他の部分にも変化が見られたとのこと。
大麻を継続吸引しても、CBDを投与することでTHC中毒の悪影響を回避できると提唱。
海馬のサイズが回復すると、臨床障害のうつ病やアルツハイマーなど、海馬の正常な機能が損なわれている疾患の治療や予防になるということで注目されています。
CBDで突発思考や行動、不安障害が緩和
最近盛んに研究されているのが、CBDがアルコールやコカインの代替物になるかどうかです。
いくつかの研究結果から、中毒症状から引き起こされる薬物探索行動を含む不安障害の離脱症状の改善を促すことがわかってきています。
CBDは添加物や不純物を一切含まないため、副作用のない処方薬となり、中毒症状はありません。
この研究ではCBDを皮膚に塗布することで、コカインやアルコールへの欲求症状を減退させる効果があります。この効果は、『まるでお気に入りの居酒屋に行った時でも、アルコールをすんなり断酒できる状況と似ている』と表現されているほど。禁煙症状にも同じ効果が得られます。
人体に張り巡らされているカンナビノイド受容体システムを正常な状態に戻す効果があるのがCBDですから、この比喩にもうなづけます。
がん治療の効果を向上
カンナビノイドを用いたがん治療の利点は、精神面もサポートしてくれることでしたが、最近の研究では、すい臓がんや肺腫瘍の進行がみられるラットの生存率を高める効果があるという調査結果も出ています。
研究者はカンナビノイドが、従来の放射線治療に影響を与えるのか、抗がん治療の有効性を最適化できるのか、カンナビノイドの抗がん治療としての効能について模索。
カンナビノイドを含んだ新薬を使用し、その成分と悪性細胞が接触する回数が増えると、ゆっくりと体外に排出されるというメカニズムを応用しました。
放射線治療だけを受けたラットとカンナビノイドを投与されたラットは、何も治療を受けなかったラットの健康状態に比べ良好で、この2つの治療を併用したラットは最も良好な健康状態という結果に。
併用治療を受けたラットの腫瘍は縮小、治療を受けなかったラットや、片方の治療だけを受けたラットより、生存日数も長くなったのです。
この結果から、腫瘍細胞へ直接注入するよりも、長期投与による治療を受けた方がより効果が得られるという発見にもなり、カンナビノイドがゆっくりと体内に取り込まれていくという証拠にもなっています。
また、がん治療などで用いられる、オビオイドの投与によってダメージを受けた部分の回復にもなるようです。
オピオイドは、中枢神経や末梢神経に存在する特異的受容体(オピオイド受容体)への結合を介してモルヒネに似た作用をします。
鎮痛、陶酔作用があるのですが、摂取量によっては昏睡・呼吸困難を引き起こす恐れも。
手術や、がんの疼痛に使用されることが多く、その副作用によるオピオイド中毒にもCBDが有効なのです。
CBDの抗うつ効果の即効性と持続性
現在、世界人口の約20%がうつ状態にあると推定されています。
しかし、ほぼ1/3の患者が治療を受けていないままという状況なのだそうです。
この2・3年で、CBDが抗うつ剤として有効であることが明らかになり、治療効果を実感できるまでは1週間ほどと言われています。
ブラジルの研究者は、典型的なうつ病の事前治療の治験に、齧歯類を用いてCBDを使用した研究結果を出しました。
CBDの投与でうつ病の傾向にあるラットの行動に関連する実験を実施し、うつ病に連動して引き起こされる症状が緩和。
たった1回の投与で治療後7日間も効果が持続したことを明らかにしています。
CBDが持つ抗うつ効果は、うつ病と関わる脳内の化学物質を変化させるのです。
CBDがBDNFという脳内化学物質を前頭葉と海馬の部分で増加させたとのこと。このことは脳細胞間の連結個数の増加(主にシナプスの増加)を意味しています。
他の処方薬では、その効果が現れるまで数週間かかるのに対し、CBDは一度の投与で症状の改善が見込まれています。
こういった実験結果は、CBDがうつ状態を緩和し、効果的な治療薬となりうる決定的な証拠と捉えて良いでしょう。
多発性硬化症を改善
近年確立された臨床実験方法に、ランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験というものがあります。
これは、多発性硬化症の症状である筋肉の痙攣症状の治療関して、大麻治療薬(主にサティベックス。THCとCBDが1:1の割合で配合された経口スプレー)とプラセボを比較するために開発・実施された方法のこと。
多発性硬化症は、病状の進行が早く、患者のQOLをひどく悪化させます。
また、痛みを伴うので、睡眠不足や膀胱機能障害を引き起こし、不安障害やうつ病の進行とも深く関係してきます。
治療法の追加措置として大麻を使用したことで、多発性硬化症の症状緩和が現れた患者数は倍増、投与から2週間経過するころに大幅に痙攣が改善されました。
この結果は痛みや睡眠障害の緩和も含め、治療方法を向上させています。
多発性硬化症の治療に、大麻物質の使用を追加処方しなければ、CBD成分に症状を緩和する効能があることが知られることは無かったでしょう。(出典:Leafly)
うつ症状、不安障害、中毒症状の緩和、がん治療、多発性硬化症とその他にもまだまだ研究段階ということで様々な効果が期待できます。
これらの症状に関して一貫して言えることは、どの病状も決定的な治療薬がなかったこと。
私自身、経験している症状もあり、処方箋治療で一時的に緩和することはできてもわずか数時間ほどしか効き目がなく、また再発することを身をもって経験しています。
体内に元からあるカンナビノイドシステムを改善させるという、新しい観点からの治療が効果的だと今までわかっていなかったのです。
今後も研究が進み、より多くの患者さんの元に副作用の無い根元から治療できるこの方法が行き渡ってくれることを願っています。
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