医療大麻、CBDが効く病気の幅はとても広範囲に広がります。
その中でも、特に標準的な治療方法で改善しない場合に、皆さん医療大麻の使用は積極的に考慮しはじめます。
その中でも患者数の多いのが、自閉スペクトラム症(ASD)。
今日は、この疾患へのCBD・医療大麻の効果をご紹介します。
ASDとは?
ASDは発達障害の一種で、こだわりが強く、人付き合いが苦手といった特徴があります。
実は、ASDと診断される子の数は世界中で増え続け、この30年で3倍に!
アメリカの大規模調査では、自閉症と診断される子の割合は100人に1人以上とされています。(https://www.cdc.gov/mmwr/pdf/ss/ss6302.pdf)
ASD は、それ以外にも、興奮、パニック、自傷行為、過度の攻撃性、不眠、てんかんなどの様々な症候が合併することが多く、周囲とのトラブルやストレスから、身体症状(頭痛、腹痛、食欲不振、チックなど)や精神症状(不安、うつ、緊張など)などのさまざまな二次障害をきたしやすい疾患です。
ASDは病気ではなく性格の一種であり、薬で治すことはできません。
しかし、上記のさまざまな症状に対しては薬が有効で、一つで多様な効果を持つ医療大麻は画期的なの選択肢となります。
もちろん、海外ではすでに処方されています。
イスラエルでも 2007年に医療大麻が解禁となり、2014年からてんかんの子供に対しても使用許可がおりるように。
てんかんはASDと合併しやすい病気の一つです。
そのてんかん治療のために大麻を使用した患者さんが気がついたのは、大麻を使うとけいれん以外の、不安、攻撃、パニック、かんしゃく、自傷行為などといったの症状が改善すること。
現在イスラエルでは、ASDの子供に対して医療大麻が広く用いられており、その患者さんたちの調査結果が、報告されています。
ソロカ大学医療センター:「医療大麻による自閉症治療の実際:安全性と有効性の分析」
※国内で二番目に大きな病院。
イスラエルのてんかん患者治療研究
イスラエルには 35,000人の医療大麻患者がおり(人口871万人)、そのうち半数が、イスラエル最大の医療大麻企業 Tikun-Olam(TO)社のクリニックで治療を受けています。
今回は 2015〜2017年の間に TO クリニックで医療大麻による自閉症の治療許可を受けた188名を対象に調査が行われました。
治療開始前に、患者の親がアンケートに回答。
治療開始後、1ヶ月後と半年後に再度アンケートを行いました。
188人のうち155人(82%)が半年後も治療を継続。そのうちの6割がアンケートに協力しています。
調査に参加した患者は、平均して13歳くらいの男の子。
参加者の15%がてんかんの合併を認めています。
平均 BMI は29とかなりの肥満傾向なのは、内服している抗精神病薬の副作用の可能性があると考えられました。
治療には、CBD優位のフルスペクトラムオイル製剤(CBD : THC = 20 : 1 [CBD 30%, THC 1.5%])が使用され、容量は、舌下に1滴(CBD15mg)、1日3回から開始し、親の判断で増減可能。
不眠症状や過度の攻撃性が認められる場合は、3% のTHCオイルも追加で処方。
結果は?
上の表は、症状が医療大麻の使用開始から6ヶ月でどう変化したかです。
落ち着きのなさ、かんしゃく、けいれん、チック、抑うつに関して 90%以上が改善したと回答。
興奮、睡眠障害、不安、消化不良に関しても 80%前後が改善を実感したのです。
下の表は、日常生活の質(QOL)について。
睡眠に関して、使用前は47%の患者さんが「とても困難」と感じていたのが、使用開始後はわずか 2%に!!
集中力に関しても、「とても困難」と感じる割合は 80.6% → 22.6% と、こちらも劇的に改善を体感した様子です。
こちらは、医療大麻以外の内服薬の摂取量の変化。
興奮や問題行動を抑える抗精神病薬を中心に薬の量が減り、20〜30%が薬をやめられています。
今回の研究では、患者さんにとって適切なオイルの量は一回につき、1滴から20滴までさまざまだったそうです。
つまり、一人一人の適切な量の差は、20倍あるということ。
少なければ効きませんし、多過ぎたとしても、副作用は心配ありませんが、リラックスしすぎて眠気を感じてしまいます。
アドバイスしてくれる愛用者や医師の意見が聞けないときは、自分で適量を探すところからスタートです!
参考文献:
https://www.smilenavigator.jp/asd/
https://www.nature.com/articles/s41598-018-37570-y
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