全米初、マリファナで学位がとれる大学

米国のミシガン州には「マリファナ研究」で正式な4年制大学の学部学位を取得できるコースがあるそう。これは、全米初の試み。

学生たちはどんな場所で、何を勉強しているのか。マリファナの合法化に踏み切る州が増えるなか、超急成長中のマリファナ市場を支える、未来の研究者について、調べてみました。


大学でマリファナの生徒が目指すものとは

5大湖の1つ、美しいスペリオル湖のほとりにあるのが、ミシガン州マーケットの街。

この街にある州立のノーザン・ミシガン大学は、昨秋、全米で唯一「マリファナ研究」で4年制の学位を所得できるコースを新設したのです。

ちなみにミシガン州では、医療目的のマリファナ使用は、10年前の2008年に州民投票ですでに合法になっています。

州内の患者たちは「ケアギバー」という名称許可証を持つ21歳以上の個人から、マリファナ製品を合法的に購入し、使用できます。

 さらに11月6日の中間選挙の州民投票で、一般のミシガン州民の「娯楽使用」も合法になりました。

この学位の正式名称は「メディシナル・プラント・ケミストリー」。直訳すると「医療用に使われる植物を研究対象とした化学」。

この学位の真の狙いは、医療用マリファナ市場に必須な品質管理の研究者や、ラボ技術者、さらに業界のアントレプレナーたちを、4年かけてじっくり育成することにある。



ラボレポート

「今日の授業で使う液体は、一滴でも身体についたら非常に危険だから、十分注意するように」

 通称「マリファナ学位」の産みの親であるブランドン・キャンフィールド教授がそう言うと、学生数20人弱のクラスに緊張が走った。

このクラスは、液体の正確な計測方法を学ぶ化学の必修授業なのだが、私語は一切なく、学生たちの間にやる気が漲っているのが伝わってくる。

なぜ「マリファナ研究」で学位を取ろうと思ったのか、学生の1人、カイル・アニカ(23歳)に聞いてみると、「医療用マリファナの品質管理の専門家になりたいから」という答えが返ってきた。

「伯父や祖父母が末期がんで苦しんでいて、彼らが痛みを緩和するためにマリファナを自宅で吸引するのを何度も見てきた。そんな中、不純物だらけでとても安全とは言えないマリファナ製品が、たくさん出回っていることに驚いた。だから自分の力で、患者に安全な商品を提供したい」



「楽しくてしょうがない」 大麻品質管理職につく

アニカのもともとの専攻は、コンピュータ・サイエンスだった。「でも、大学で何を本当に勉強したいのか、よくわかっていなかった」。

そんなときこのコースが新設され、「これだ」と思い、すぐに専攻を変更した。コンピュータ関連ですでに80単位を所得済みだったが、化学や生物学の単位をゼロから履修し、卒業が遅れることに不満は全くなかったといいます。

マリファナ製品の品質管理ラボで働くという目標ができた今、毎日夢中で、楽しくてしょうがない。医療用マリファナ業界は急成長分野だから、就職も引く手あまたで心配ないし。何とか2020年に卒業する最初のグループの1人になるのが目標」とアニカ

 カンザス州出身のトレバー・クラック(22歳)の動機は、まさにビジネス

「この専攻を選んだ理由?何と言ってもビジネスチャンスの大きさに惹かれた。間違いなく、巨額の利益を生み出すビッグな産業だからね」

フットボールの奨学生としてノーザン・ミシガン大学に入学した彼は、高校以来6年間、化学の授業を一度も取ったことがなかったが、ビジネス専攻から迷わず転向

卒業後は、自分のマリファナ・ショップを開くのが夢。


「僕の母親は、マリファナの娯楽使用もすでに合法化されたカリフォルニア州に住んでいるから、すぐ賛成してくれた。でも、中西部に住む父親に『マリファナ研究で学位を取る』と告白するのはちょっと勇気がいった。『反対されるかも』と心配で、専攻を変えてから報告した。結局、理解してくれて応援してくれている」とのこと。


なぜ「マリファナ研究」で学位を取ろうと思ったのか、学生の1人、カイル・アニカ(23歳)に聞いてみた。すると「医療用マリファナの品質管理の専門家になりたいから」という答えが返ってきた。

 「伯父や祖父母が末期がんで苦しんでいて、彼らが痛みを緩和するためにマリファナを自宅で吸引するのを何度も見てきた。そんな中、不純物だらけでとても安全とは言えないマリファナ製品が、たくさん出回っていることに驚いた。だから自分の力で、患者に安全な商品を提供したい

「こんなに多くの学生がやってくるなんて、想像もしなかった。設立時には、大学の理事などのお偉方を説得できたことに驚いたくらいだったのに」と語るキャンフィールド教授。

 教授いわく、これまで化学の授業では、授業後に学生が実験室に残って化学のトピックで熱く語り合うようなことは、あまりなかったそうだ。しかしこの専攻の学生たちは、化学のディスカッションに熱中し、貪欲に知識を吸収したいという意欲が非常に強いのだそうです。


マリファナ学位なのに 「葉」に触れない?

ミシガン州ではマリファナ製品に対する規制が強化され、農薬や重金属などが混入していないことを検査で証明できない場合は、販売できないことになったため、学生たちもマリファナ製品規制をめぐるニュースには非常に敏感。

「マリファナ研究で学位を取ると言うと、友人たちから『じゃあ、葉っぱに触りたい放題だろ』と言われるけど、冗談じゃない。研究室でマリファナの葉に触ることはできないんだから」とクラックさんは言います。

マリファナ学位なのに「葉」に実験で触れることができないというのは、いったいどういうことか。

「たとえ州内では合法でも、米国連邦政府はマリファナの栽培、所持、売買、使用を違法と定めているから、学内でマリファナを栽培したり、実験で葉を扱ったりすることは、残念ながらできない。しかもマリファナは『スケジュール1』というカテゴリーに入れられているから」と語るのは、同大学化学部長のマーク・ポールソン教授。

「スケジュール1」というのは米連邦政府が「現在認可されている医療での使用法がなく、中毒性が極めて高い」と認定した薬や物質を指し、ヘロインやLSDなどと共に、マリファナはこの分類に区分されている。

ポールソン教授によれば、米国の大学で連邦政府から特例的にマリファナ栽培を認められているのは、ミシシッピ大学1校のみだという。

多くの州がマリファナの医療用、娯楽用の使用を合法化させても、連邦政府が「違法」と定める限り、ダブルスタンダードが存在し、学内での栽培はできないということ。

「政府から特例を勝ち取ることは不可能ではないかもしれないけれど、非常に煩雑な手続きと、厳戒な24時間体制のセキュリティが必要になる。現状ではかなり難しい」とキャンフィールド教授。

マリファナの葉を教室で直接扱うことはできないが、マリファナに含まれる向精神物質である「THC」を微量の液体の形で大学が購入し、それをラボ実験で扱うことは可能だ。

「私たちの研究は、薬草を使っての人体実験がメインではないし、物質がたとえ微量でも化学的実験は十分できる。薬草にどんな物質が含まれているのかを分析し、土壌や育成状況によって含まれる物質に変化があるのかを調べるには、微量のTHCでも大丈夫」とキャンフィールド教授。


マリファナの実験をミントで 連邦政府と州政府の方針の狭間

ただ学生が自ら植物を育て、内容成分を抽出するという実験は、この学位所得のためにどうしても必要で、その場合は、マリファナのかわりにセージやホップ、ミントなどの植物を使うことになる。

しかし、「マリファナとミントではそもそも葉に含まれる成分が違いすぎるのでは」と質問すると、キャンフィールド教授はこう言った。

「植物の内容成分を抽出し、細かく分析する作業は、マリファナでもミントでも、実は全く同じ手順だ。だから、学生たちは学内で学んだ技術を、マリファナ製品の品質ラボでも、すぐに活かすことができる」

ヘンプ」と呼ばれ、工業用のロープなどをつくるのに使われる「」は、マリファナと同じ“大麻ファミリー”に属する植物で、連邦政府により1970年に正式にカンナビス(大麻)のカテゴリーに含められた。

米国連邦政府の法律では、米国での麻の栽培は、マリファナ同様、現在も「違法」のままなのだ。

 学問追究のための教育機関ですらマリファナを扱えない現状がある反面、ミシガンの学生たちは「ケアギバー」というライセンスを州から所得すれば、患者に提供するためのマリファナを自宅で合法的に自由に栽培できるのです。

学生たちが自宅で栽培したマリファナの写真をスマホ写真で見せてくれるのだが、正直、ああ、これが教室での実験で使えればと思ってしまう」とキャンフィールド教授。

個人が自由に栽培できていたケアギバー制度だが、新しく施行された州の規制で、ビジネスライセンス制に置き換わることになり、ミシガン州の医療マリファナ制度はかつてない大きな転換期を迎えることになったのだ。


「おたくの学生をぜひ欲しい」 教授に群がる製薬会社や法律事務所

そんな過渡期に学ぶ学生たちが実際の「葉」に正式に触れることができるのは、学外インターンシップの場。

「まだ夏のインターン先は決めていないけれど、検査ラボで、実際のマリファナを扱える機会はすごく楽しみで興奮する」と学生のアニカは言う。

キャンフィールド教授と共に学生たちを教えるレズリー・パットマン教授はこう言う。

「最近、学会に出る度に、マリファナ栽培会社や検査ラボ会社、製薬会社、法律事務所などから『おたくの学生にぜひ来てほしい』と懇願され、山のように名刺を渡される。業界関係者たちは、うちの学生たちが厳しいカリキュラムをこなして、訓練された化学者であり、単なるマリファナ好きの享楽学生などではないことをよく知っている」

「マリファナ研究=享楽学生」という偏見は、同大学の教室を実際に訪れて、学生たちの真剣さを間近に見れば、誤解だとわかる。

ロス・チナバレ(31歳)の場合は、研究予算が潤沢なミシガン州立大学の化学学部で学んでいたが、この北部の小さな街にある大学に編入を決めた。

理由は、マリファナ研究以外にも「少人数制の授業やパーティの誘惑の少ない大自然の中のキャンパスに惹かれた。真剣に研究に打ち込める環境を求めてここに来た」という。

将来は薬草研究で博士号を取りたいと語っています。

パットマン教授は、高校時代から化学が得意だった理系タイプと、文系からの転身組など、さまざまな学生がいるなか、4年時に1年間かけて行う栽培・収穫・抽出・分析の実習実験が、学生たちにとって最大の難関になるだろうという。

「もし実習実験のペースについて来られない学生がいれば、その時点で他の専攻に変更するよう誘導する可能性もある。一定の成果を出せない学生は卒業させられない」と言う。

ただ、この専攻の学生たち全員がマリファナ研究に没頭するというわけでもなさそうだ。

「マリファナに全く興味はないけれど、幼い頃から植物オタクだし、植物を医療に役立てたい」という動機でこの専攻を選んだのは、ライアン・マクグリービー(19歳)だ。野生のタンポポからオイルを自作し、ハーブをアルコールに漬けて成分抽出するのが趣味の彼女は、ハーブを治療に使うオルタナティブ医療の医師になりたいという。

「たとえマリファナ関連の仕事に就かなくても、学生たちが学んだ技術は、食品や水質検査のラボ、ハーブ製品関連や医薬品のラボなど、どこの研究所でも通用する職種は幅広く選べる」とキャンフィールド教授

確かに卒業後の職の選択肢は多そうだが、これまでマリファナに付随してきた「犯罪」や「薬物中毒」のイメージが、学生にとってネガティブに働くことはないのだろうか。

「確かにこれまで連邦政府は『違法』であるために、マリファナ関連の科学的リサーチにほとんど資金を投入しないという選択をしてきた」とキャンフィールド教授は言う。だが、今年6月には、米食品医薬品局が、マリファナに含まれる「CBD」という物質からつくられた、てんかん患者用の薬を正式に認可したことで、これが薬品業界で大きなマイルストーンとなった。

またマリファナのTHCを含む薬品で、同じく米食品医薬品局の認可済みで、拒食症やエイズ患者の食欲増進を促したり、がんなどの患者に使われているケースもある。「カナダではマリファナが医療面でも非常にオープンに使われており、その点でまだ米国は遅れているのが現状だ」とポールソン教授は言う。

ノーザン・ミシガン大学の3人の教授たちは、化学者たちの間では、マリファナに付随するネガティブなイメージはなく、むしろ薬用の新たな発見が詰まった「研究の新天地」だという見方が強いと断言する。「いつか、アマゾンのサイトでマリファナが売られる時代が確実に来るだろうし」とパットマン教授

ノーザン・ミシガン大学の入学選考を担当するアドミッションのエグゼクティブ・ディレクターのゲリー・ダニエルズは、「毎日1回は必ず『マリファナ学位について知りたい』という電話がかかってくる。自分の身内が難病で苦しんでいて、マリファナを使って痛みを抑えているという実体験を切々と語る情熱的な学生たちがとても多い」と言う。

その一方で、同大学の一般の化学専攻の学生に聞くと、「うちの寮の部屋の半数以上が『マリファナ学位』の学生で占領されている。彼らが部屋の中でこっそりマリファナを栽培していなくて、正直ホッとした。一緒に住む前はちょっと心配だったから」と小声で語られることもあったそうです。


6割の州で合法化、100億ドル市場に転換期

11月7日現在で、全米50州のうち33州が医療用のマリファナ使用を合法化し、そのうちの10州が21歳以上の娯楽使用を合法化したことになります。

連邦政府がマリファナを違法にしたのは80年前で、それは今も続いています。そんな中、北米のマリファナの合法セールス昨年97億ドルに達したといいます。

100億ドル規模の北米マリファナ市場が、連邦政府が違法から合法へと転換する日は来るのでしょうか。

「マリファナが現在違法であるために、ブラックマーケットに流れている資金と、マリファナ関連の犯罪を取り締まるのに必要な資金、それらの資金を少しでも将来マリファナを対象としたサイエンス研究に回すことができれば、より有益な発見ができる可能性はとても高い」とキャンフィールド教授は見る。

(出典:DIAMOND online)

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